フラメンコは大衆的な起源で、大ヒットして時代や流行、国境や国を超えて残っている音楽でです。しかしながら本来の性質を失うことなく、あらゆる傾向を取り込んだ活きた芸術でもあります。いちばんの特徴は感情的、感傷的に参加する観客とのコンタクトでなんです。フラメンコに接することが初めてであっても、感覚が目覚め、ハートに届く・・・。この神秘的な特徴はドゥエンデ(魅惑)として知られています。フラメンコはアルテ・ホンド(奥深い芸術)とも呼ばれていますが、それは感情を深く掘り下げたものだからです。またフラメンコの誕生と発展にジプシーが影響しているため、ジプシーの芸術と呼ぶ人もいます。
又、フラメンコはアンダルシア地方で発展した音楽文化が集まった結果生まれた芸術で、代々継承されてきたものです。歴史はそれ程古くなく、200年足らずですが、その音楽にはユダヤ、アラブ、カスティージャ、古代アンダルシアやジプシー音楽等先代の影響を見出すこともできます。つまりアンダルシアに定住したことのあるすべての民族の音楽の影響があるんです。フラメンコ誕生をもたらしたアンダルシア民族音楽のベースにいちばん影響を与えたのがジプシーだったといわれています。彼らは15世紀初期にスペインに到着しましたが、19世紀中頃迄スペインのアンダルシア地方の歌や舞踊に関してフラメンコという言葉は表れてはいません。
フラメンコの活動が最も盛んな場所はスペインのマドリッドで、数年前から定期的に注目のアーティストを集めてのイベント、フェスティバルが開催されています。フラメンコ・フェスティバル、マドリッドの夏フェスティバル、フラメンコサミット等がその一例です。
またアンダルシア地方でも定期的にフラメンコ祭が開催されています。中でも質の高さからして次の2都市でのフェスティバルが目立ちます。ひとつはセビージャで1年おきに開催される“ビエナル・デ・アルテ・フラメンコ”や、コルドバに3年おきに開催される、“トリエナル・フラメンコ”ですね。
アンダルシア地方以外で最も重要なイベントは、毎年夏にムルシアのラ・ウニオンで開催されるラス・ミナス・カンテフェスティバルで、これはレバンテのカンテ、具体的には鉱山カンテの祭典なんです。
マドリッドとバルセロナもまた幅広いフラメンコの劇場公演がある他、コンサートルームやバルでのライブ公演もありますが、常時行われているわけではありません。しかしタブラオでは年間を通じてショーが行われており、出演アーティストやクオリティは様々です。
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